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UFCの独占配信権を獲得した外資企業がサッカーJリーグの放映権を2,100億円で獲得!エヌヒトの解説

      2016/07/23


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UFCの独占配信権を獲得した外資企業がサッカーJリーグの放映権を2,100億円で獲得!エヌヒト解説

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ツイッターでもちょろっとつぶやいたが、先日サッカーJリーグの放映権の更改が行われ、英国企業のパフォーム・グループと今後10年で約2,100億円の大型契約を結んだ事を明らかにした。

これまでのJリーグの放映権料は推定30-50億円と言われており、今回の更改で一気に年間210億円まで跳ね上がったため、これは驚愕のニュースとして受けとめられている。

私は今まで日本のスポーツ放送における放映権料は安過ぎるとずっと思っていたが、それをブレークスルーしたのは外資系の黒船企業であった

私はこういった分野の話題を得意としているので、僭越ながら解説したい。

契約は有料放送が対象

今回の契約の対象は「有料放送」についての部分で、それはこれまでスカパー!が担っていた部分である。

よって「無料放送」は原契約を維持する方向で調整されるとの事で、それは地上波、BS放送の権利を持つNHK,TBSを指している。

当然有料放送だけでは裾野は広がらず、地上波、BS放送といった無料放送で認知度を上げた上で、有料放送で課金するというビジネスモデルとなる。

NTTの存在と、ソフトバンクの敗北

今回の契約で見逃せないのが、パフォームグループがNTTグループとも手を組んでいたという事。今回の記者会見ではJリーグの村井満チェアマンとパフォーム・インベストメント・ジャパンのラシュトンCEOに加え、NTTの鵜浦博夫社長の3人が出席していた。

今回のディールはパフォームグループとNTTグループのタッグによる契約で、同じくJリーグ側と交渉していたソフトバンクグループに勝利した結果と言える。

日本の複数のメディアがソフトバンクグループもJリーグ側と交渉していると報じており、日本バスケットリーグのBリーグを巨額の大型契約を結び、ヨーロッパサッカーの放映権を得ているソフトバンクの「スポナビライブ」も、このJリーグの放映権を狙っていた。

こうしたキャリア2社の代理戦争の様相を呈しているのが、今回のJリーグ放映権争奪戦であった。

英国パフォームグループとは

英国パフォームグループとはどういう会社か。

これは世界最大規模のスポーツメディア企業である。世界各国のメジャースポーツのサイトやアプリなどの運営しており、今回巨額の資金調達と投資により、今年の夏からスポーツに特化したインターネット動画配信サービス「DAZN」の全世界でのサービス開始を予定している。

そのパフォームグループは、あの世界最大の総合格闘技団体UFCと動画配信で独占契約を結んだと先日報じられた。UFCと2年間のパートナーシップを締結し、UFC全試合をライブで独占配信する。それはUFCのナンバーシリーズ、ファイトナイト、FOXイベントなど全てが含まれるという。UFC Figh Passと関係は明らかでは無いが、この契約に掛かった費用はJリーグの比ではないと思われる。

巨額契約の裏に新しいビジネスモデルあり

今回Jリーグと10年2,100億円の契約を結んだわけだが、その巨額のディールを実現した裏には新しいビジネスモデルが存在する。

そもそもこれまでのJリーグの放映権料が少額であったという話もあるが、それでも7倍近くも跳ね上がるのは想像しずらい。

単純に「放送」単体の事業で考えた場合、これを回収するのは不可能だ。今回の契約はそれでもペイ出来るというビジネスモデルの存在が透けて見える。

それは単純化すると以下の3つである。

・グローバル展開

・携帯キャリアとのタッグ

・他サービスとも合わせて課金化

以下それぞれ解説する。

グローバル展開

パフォームグループが有利なのは、デジタル領域においてグローバル展開している会社という点である。

インターネットというこの世で唯一のグローバルでオープンなインフラの上で、全世界を相手に課金をする事が出来る。

Jリーグを日本だけでドメスティックに対応するだけでは収益は限られており頭打ちとなる。

しかし全世界がマーケットであれば、この成長分野に投資する価値は十分にある。それを得意としているのがパフォームグループなのである。

「Jリーグは世界の他のリーグに比べダメだダメだ」と言われ続けてきたが、地道なアジア戦略は15年以上に渡り続けてきた。

Jリーグは決してドメスティックなコンテンツではない、「今後アジアに、そして世界に誇るコンテンツにしていく」。そのメリットはパフォームグループにも存在する。

携帯キャリアとのタッグ

今回ここまで契約金が跳ね上がったのは、間違いなくソフトバンクとの争奪戦によるものだろう。

ソフトバンクも、スポーツに特化したスマホ向けのインターネット配信サービス「スポナビライブ」をサービス開始していた。

そのサービスについては、以前当ブログでも取り上げているので是非ご一読を。

新日本プロレスワールドにも影響?日本の巨人『ソフトバンク』が動画配信事業に参入:nWoな人々

ソフトバンクは、バスケットボールのBリーグの放映権料を4年で計125億円もの大型契約で独占契約を結んでいた。

そのソフトバンクが絶対に欲しかったスポーツコンテンツがJリーグである。

ソフトバンクは既に日本プロ野球やヨーロッパサッカー、メジャーリーグのライブ配信をこのスポナビライブで行っており、これに日本のサッカーリーグも入れて日本のスポーツ視聴にIT革命を起こしたかったに違いない。

ソフトバンクは携帯電話のソフトバンクユーザーには月額500円ほどで視聴可能としており、ユーザーでない人には月額3,000円としている。それだけソフトバンクユーザーを優遇するものであり、逆に言うと携帯電話の販売促進の意味もあるのだ。

昨年度のソフトバンクの決算発表会見を私は全て見たが、そこでソフトバンクの孫正義社長はこのスポナビライブの重要性を熱心に語った。これからは「APRUを更に上げていく事に注力する!」と。

APRUとは、「Average Revenue Per User」の略で、直訳すると「顧客毎の平均収入」である。

既に携帯電話キャリアは、音声とデータによる収入は頭打ちである。その二つが日本で最も儲かるビジネスとして安倍総理大臣も問題視しているくらいだが、頭打ちなのは事実。

これから更に収益を上げていくためには、上記二つ以外にも「いかにユーザーが課金をしてくれるか」という点が重要なのである。

そういった意味で、ソフトバンクやドコモ、auといった会社は、この「APRU」をいかに上げていくかというのは至上命題なのだ。

その意味で、ソフトバンクにとってはこのスポナビライブは重要で、そのコンテンツの一つとしてのJリーグには大きな魅力を感じていたはずである。

そして今回のパフォームグループの背後にはNTTグループがいる。今回NTTの鵜浦社長は「キャリアフリー」である事を強調していたが、ドコモユーザーに何らかの優遇がある可能性は極めて高い。

今回の契約はパフォームグループのみらならず、日本最大の企業グループの一つであるNTTグループからの多面的なサポートがあったのは容易に想像出来る。

こういった動画サービスは、携帯電話キャリアと非常に親和性が高い。

それは当ブログでも何度も指摘している通り、キャリアは「セット販売」と「データ通信量制限」の二つのメリットを持っているからだ。

セット販売はあなたも経験があるはずだ。ドコモでもソフトバンクでもauでも、携帯電話を申し込み際に「セットでネットフリックスやHulu、dTVを申し込むと料金割引の特典が受けられます。初月無料なので来月解約してもらっても大丈夫です。」と営業員はユーザーに説明する。上記サービスを申し込まないと絶対に料金的に損をする仕組みなので、必ず皆申し込むわけだ。しかしながら人間面倒くさがりなもので、来月解約すれば良いものの、面倒でそのままにしてしまう。しかもそれぞれ解約するための解約ページを探すのも大変で、それも非常に骨が折れる。

こういう形で書くとネガティブに思えるが、これはどの商品、サービスでも同じでかなり一般的な手法である。

しかしながら携帯電話キャリアは3,000-4,000万人ものユーザーを有しているので、これは非常に有利である。お試しで使ってくれるだけでも、そのリーチ力は他の追随を許さない。

そして「データ通信制限」の問題。

動画配信サービスで一番のネックは「スマホのデータ通信量制限」の問題だ。一般的にスマホのデータ制限は多くて7Gほど。しかし動画を視続ければ、そんな7Gなどあっという間に使い切ってしまう。それでは動画サービスなど使い続ける事は出来ない。よって自宅等のWifi環境が必須となる。

しかしながら携帯電話キャリア側は、データ通信の「データの色分け」をする事が可能である。

具体的には「スポナビライブ、パフォーム社の動画配信サービスのデータ・トラフィックは、”データ通信量制限の対象外である”」と設定可能なのだ。

これが実行可能なのは世界で携帯電話キャリアだけである。

「新日本プロレスワールドはいくら見てもらっても、データ容量制限には引っ掛かりません」となったら当然ユーザーは嬉しいし、メリットは大きい。

それがあるため、携帯キャリアとの親和性は極めて高いのだ。

他サービスとも合わせて課金化

上述の通り、今回契約金額が10年で2,100億円に上ったのは間違いなくパフォームグループ&NTTがソフトバンクと争奪戦を繰り広げたためである。

なぜならスカパー!には残念ながら単体でそれをペイ出来る能力は無い。

よって脱落したスカパー!を横目に、これまでの7倍以上の放映権料まで吊り上がったのは、ソフトバンクというライバルがいたという事しか論理的に説明が出来ない。

ここまでの契約金額になったのは「単体でペイする」という視点ではなく、「他サービスも含めて総合的な価値を評価して」に他ならない。

それはパフォームグループ、NTTグループ、ソフトバンクグループそれぞれが言える話である。

例えばドコモであっても、定額電子書籍読み放題のdマガジンや、ドラマ映画アニメが見れるdTVといったサービスを持っている。

ソフトバンクもYahoo! JAPANによるヤフオクやヤフーショッピングなど、様々なサービスを持っている。

これらの顧客基盤を元に、新しいビジネスはいくらでも創造する事が出来る。

それを可能としているのがインターネットとスマートフォンによるデジタル&グローバルプラットフォームなのである。これで世界へリーチして課金をする事が出来、そして様々なものを組み合わせて新しいビジネスを作る事が可能になる。

そしてそのプラットフォームで得られたビッグデータを解析して、次のマーケティング戦略に繋げる事も出来る。

これは好む好まざるを置いておいて、世界の潮流である。

例えばIT業界の世界の覇者の一つアマゾンを見ればわかりやすい。

彼らはネット通販の他にも「動画配信サービス」「AWS」というサービスもやっている。

動画配信サービスは上のスポナビライブやdTV、新日本プロレスワールドのようなサービスである。最大手はネットフリックスで全世界に8,000万人以上の有料会員を持つ。

アマゾンはこの業界に価格破壊を起こした。そもそもネットフリックスが価格破壊を起こしたのだが、アマゾンはそれよりも更に半額くらい安い。

それを実現しているのが「アマゾンはネット通販が本業」だからだ。「プライム会員」であれば、他のサービスと合わせて大きな値引きが出来る。これによってアマゾンは他のライバルよりも一番価格的にはお得である。

他にも企業向けのAWS(Amazon Web Service)もそうだ。これはクラウドサービスで、企業向けにITリソースを提供するものだが、ライバル企業に比べて圧倒的に価格が安い。

それはアマゾン自体が使用している超巨大なITリソースの一部を提供しているため、ボリュームディスカウントが効いて他を大きく引き離す価格帯を実現出来るからだ。

このように、あるサービスを単体でペイするという考え方ではなく、他のサービスとの複合でメリットを見出す戦略が、今世界的に大きな力を持っていて、それが世界で勝つためのセオリーになりつつある。

最後に

このように、「デジタルコンテンツ」における世界の市場は今後右肩上がりなのは間違いない。

特にスポーツ分野は、今後デジタルコンテンツの取り合いになる事が予想される。

これによって一時的にデジタルコンテンツバブルが来る可能性は極めて高い。

しかしながら、それはバブルの意味合いも内包する事を忘れてはならない。

いつか覇権を握る企業が出てくる。そうした時に逆に急激なデフレが進むのも容易に想像出来る。

よってコンテンツホルダーは、その先も見据えた7-8手先を読む判断が求められてくると思うのだ。

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