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野球、サッカー、格闘技、プロレス・・、スポーツ分野でのインターネット動画配信サービスを取り巻く環境について。エヌヒトによる解説。

      2016/09/13


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野球、サッカー、格闘技、プロレス、スポーツ分野でのインターネット動画配信サービスを取り巻く環境について。エヌヒトによる解説。

dazon

今回もまたプロレスに関係ない様である話題を取り上げたいと思う。

それはこのニュース。

ロイター:スポーツ中継「ダ・ゾーン」開始、ソフトバンクは通信無料で対抗

Jリーグの放映権料を10年で2,100億円という巨額の契約で獲得した英国資本のパフォーム社が、スポーツに特化したインターネット動画配信サービス「ダ・ゾーン」をサービス開始した。

ダ・ゾーンはサッカーのJリーグやドイツのブンデスリーガ、国内プロ野球の一部や米大リーグ(MLB)、バスケットボール(NBA)、アメリカンフットボール(NFL)、モータースポーツ(F1)など年間6000以上の試合が見放題のサービスである。

早速インターネット等の広告でもガンガンこのダ・ゾーンが流れ始めている。

私が気になったのが上記のニュースで、「ソフトバンクは通信無料で対抗」と報じられている点だ。

ソフトバンクはスポナビライブという、米国大リーグ、日本のプロ野球やサッカーの英国プレミアリーグ、スペイン・リーガエスパニョーラ、そして国内バスケットリーグBリーグ等が見放題のインターネット動画配信サービスを開始している。

これは上記の通りプロスポーツ中継が見放題のダ・ゾーンと完全にバッティングしてしまっている。

今回の「ソフトバンクは通信無料で対抗」は、当ブログで以前私が予想した通りの動きである。

UFCの独占配信権を獲得した外資企業がサッカーJリーグの放映権を2,100億円で獲得:nWoな人々

「データ通信制限」の問題。

動画配信サービスで一番のネックは「スマホのデータ通信量制限」の問題だ。一般的にスマホのデータ制限は多くて7Gほど。しかし動画を視続ければ、そんな7Gなどあっという間に使い切ってしまう。それでは動画サービスなど使い続ける事は出来ない。よって自宅等のWifi環境が必須となる。

しかしながら携帯電話キャリア側は、データ通信の「データの色分け」をする事が可能である。

具体的には「スポナビライブ、パフォーム社の動画配信サービスのデータ・トラフィックは、”データ通信量制限の対象外である”」と設定可能なのだ。

これが実行可能なのは世界で携帯電話キャリアだけである。

「新日本プロレスワールドはいくら見てもらっても、データ容量制限には引っ掛かりません」となったら当然ユーザーは嬉しいし、メリットは大きい。

それがあるため、携帯キャリアとの親和性は極めて高いのだ。

ソフトバンクは、ダ・ゾーンのサービス開始日と同日、スポナビライブのデータ通信料がソフトバンクユーザーに限り無料となるキャンペーンを実施すると発表した。

これはまさしく私が指摘していた「データ通信量制限の対象外」の対応だ。

このインターネット動画配信サービスにおけるデータ通信量制限の対象外のサービス開始は、私が知る限りこのソフトバンクが世界初のはずだ。

そして私は以前のブログでこの「データ通信量制限の対象外」と合わせて「セット販売」も開始する可能性があると指摘している。

UFCの独占配信権を獲得した外資企業がサッカーJリーグの放映権を2,100億円で獲得:nWoな人々

こういった動画サービスは、携帯電話キャリアと非常に親和性が高い。

それは当ブログでも何度も指摘している通り、キャリアは「セット販売」と「データ通信量制限」の二つのメリットを持っているからだ。

セット販売はあなたも経験があるはずだ。ドコモでもソフトバンクでもauでも、携帯電話を申し込み際に「セットでネットフリックスやHulu、dTVを申し込むと料金割引の特典が受けられます。初月無料なので来月解約してもらっても大丈夫です。」と営業員はユーザーに説明する。上記サービスを申し込まないと絶対に料金的に損をする仕組みなので、必ず皆申し込むわけだ。しかしながら人間面倒くさがりなもので、来月解約すれば良いものの、面倒でそのままにしてしまう。しかもそれぞれ解約するための解約ページを探すのも大変で、それも非常に骨が折れる。

こういう形で書くとネガティブに思えるが、これはどの商品、サービスでも同じでかなり一般的な手法である。

しかしながら携帯電話キャリアは3,000-4,000万人ものユーザーを有しているので、これは非常に有利である。お試しで使ってくれるだけでも、そのリーチ力は他の追随を許さない。

今後上記のようなセット販売をソフトバンクが開始する可能性は十分考えられる。

以前ブログでも指摘した通り、今回のJリーグの放映権料が2,100億円まで高騰したのは、ソフトバンク vs NTT&英国パフォーム社の戦いがあったからと私は見ている。

パフォーム社単体であれば、これまでの7倍以上の放映権料まで釣り上がる理由は見当たらない。ここまでJリーグ有利の契約となったのは、ソフトバンクも同じくJリーグの放映権獲得に動き、その結果競り合いとなって金額が高騰したという事だ。それを裏付けるように、今回のダ・ゾーンのサービス開始日に合わせてソフトバンクは「データ通信量の対象外」サービスをぶつけている。

よって私は今回パフォーム社と協力関係にあるNTTグループが、ソフトバンクに対抗してNTTドコモでもこの「ダ・ソーンのデータについては通信容量制限の対象外」と打ち出してくる可能性が高いと見ている。

そしてセット販売も同様である。私の記憶が確かならば、通信キャリアでセット販売を開始したのはドコモが最初のはずだ。

さて、現状この世界中でスマホ向けのインターネット動画配信サービスをやるとなった場合、最も大きな問題になるのはこの携帯電話キャリアの「データ通信容量制限」である。ドコモ、ソフトバンク、KDDI各社それぞれ、2-7G/月という制限を設けており、それを超えると超低速になる。よってそれがあるためデータ容量の大きい動画は多く見れないのだ。

移動体通信という意味ではモバイルWifiもWIMAXも現状同じである。「無制限使い放題!」と打ち出されているものも、よく見ると「一日の制限」は存在する。それは「月の制限は無いが、一日の制限はある」という形を変えているに過ぎない。

となると、現状スマホでそれを解決するには「自宅等のWifiで接続して見る」か「携帯電話キャリアが制限対象外」にする2通りしか存在しない。

この2つ目が出来るのは携帯電話キャリアだけだ。それは彼らの特権である。よって現状彼らはこの分野で非常に有利な立場にある。

そんな中で、上記ロイター社の記事に興味深い記述がある。それは「ネットワークの中立性」についてだ。

ロイター:スポーツ中継「ダ・ゾーン」開始、ソフトバンクは通信無料で対抗

ソフトバンクはスポナビライブのデータ通信料を無料とすることで対抗心をあらわにしたが、自社コンテンツのデータ通信料を無料とすることは「ネットワークの中立性」という問題もはらんでおり、議論を呼びそうだ。

ロイターの記事は「ネットワークの中立性の問題」とさらっと書いるが、解説が無いため不親切である。

「ネットワークの中立性とは久々に聞いた話題だな~」と思ったが、これは昔からよく議論されている問題だ。

ネットワークの中立性とは携帯電話キャリアや、通信キャリア、そしてそれに接続しているサーバ、そしてアプリケーション、コンテンツなどなど、それらは「インターネット上においては平等に扱うべし!」という考え方である。

これはインターネットが出来た今から20年前の1990年代から続いている議論であり、要は「インターネットは誰のものか?」という論題だ。

そう、皆が毎日使っているインターネットは「皆のもの」という考え方が多数派である。なぜならばインターネットとは、(IPというルールで)世界中のネットワークをお互いが接続し合って出来たものなので、誰か一人のものではないからだ。

よってインターネットは「オープン」で誰もが自由に使うものなのである。この「オープン」というのがポイントで、誰でも接続出来るために、今に至るまでここまでインターネットは世界中に広まったのだ。

しかしながらこれに異を唱える勢力も多い。それはネットワークの大部分を所有している「通信キャリア」達である。

そこで激論になったのは「インターネットただ乗り論」だ。

この論理はこうだ。「インターネットのインフラは我々が構築し、我々が維持費に多額の費用を払っている。それなのに、インターネットを使ってサービスを提供しているGoogleやYahoo、マイクロソフト社などは”タダ”でそれを使って巨額の利益を得ている。これは不公平である!インターネットの帯域容量が足らなくなったら、それを増設するのは我々であり、その費用を出すのも我々だ!彼らはその費用を負担すべきである!」

この議論は10年前辺りに米国で火がついた。一時「米国の電力量の半分を消費しているのはGoogleサーバーである」と唱えた学者もいたほど、Googleの存在感は電力でも通信でも超巨大であった。

しかしGoogleやYahoo側は「あなた達は我々のサービスをユーザーがインターネットで使って利益を得ているのであって、我々が存在するからインターネットの利用価値があるのだ。」と反論した。

このようにしてインターネットを提供する側と、インターネットを使ってサービスを提供する側で「ネットワークの中立性」「インターネットただ乗り論」という論題でずっと争ってきたのだ。

そういった歴史があり、そこでここに来て「(通信キャリアである)ソフトバンクが他のユーザーと分けてサービスを提供するのはネットワークの中立性に反する」という議論が出て再燃しそうというわけである。

現状NetflixやAmazon、Huluも含めて世界中でインターネット動画配信サービスは過当競争の真っ只中のため、世界中を巻き込んだ議論、そして政治問題に発展する可能性は十分ある。

ソフトバンクは米国の携帯電話通信キャリアNo.3のスプリントを巨額の費用で買収した。その米国では政治家へのロビー活動も重要になるだろう。

先日の米国主要メディアの報道によると、現在産業団体を除いて、企業単体で政治家にロビー活動をしているのはIT企業が多いという。Googleは3位まで浮上した。Appleやfacebookもロビー活動費用が急上昇しているという。もちろんドナルド・トランプ氏の共和党も、ヒラリー・クリントン氏の民主党も両方にロビー活動をしている。Googleはこの何年で、ワシントンに駐在するスタッフが1名から100名まで増員したと報道されている。

米国という国は「自由の国」という言葉に反して規制の多い国でもある。TPPも米国では反対の勢力が優勢になっている。

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さて、私はソフトバンクにせよ、ドコモにせよ携帯電話キャリアは短期決戦を仕掛けてくる可能性が高いと予想している。

その理由は上述した「データ通信容量制限」が遠くない将来撤廃される可能性が高いと思うからだ。

今はスマホで動画を見るとすぐ制限が掛かってしまう。しかしそれが撤廃されるのは、正直「時間の問題」と言う事が出来る。

なぜならば「ITの技術は日々進歩し、技術革新が進んでいる」からだ。

ご存知の通り、携帯電話も昔は通話料も定額ではなかったし、自宅のパソコンのインターネットも定額ではなく「使った分だけお金が掛かる従量制」であった。

インターネットが出始めた頃の私が学生時代は、インターネットは使えば使うほどにお金が掛かった。インターネットの接続に電話回線を使用していたので、使ってる間は自宅の電話が使えないし、さらに使えば使うほど電話代が掛かる。そしてインターネットプロバイダー料金も使った分だけかかって、一時酷い高額の請求をされたことがあった。

そうでなくても、かつては携帯電話の使い過ぎで親に怒られた子供は多かったはずだ。

しかし今や定額使い放題が当たり前である。

その理由は「技術革新」だ。

インターネットが定額になったのは、ソフトバンクが「Yahoo!BB」でADSLという技術を普及してくれたおかげである。それまでは電話のアナログ回線か、ISDNという今は存在しないサービスでインターネットを利用しており、「スピードが遅くて高い」サービスを使っていた。

それをソフトバンクが革命を起こし、世界一速くて世界一安いインターネットサービスを普及させた。それが現在のソフトバンクの礎の一つになっている。

これだけでなく、ITの世界には「コンピュータの性能は2年で倍になる」という「ムーアの法則」が存在する。

これはITの世界に入ったら誰でも最初に学ぶ事で、私も学生時代習った。

これはムーア先生がコンピュータの性能は2年で倍になるという説を提唱し、なんとその説を唱えてから今までそれが覆ったことがないのだ

それは正直驚くべきことで、毎回誰かが何らかしらの技術革新を起こし、それによって2年で倍が維持され続けているのだ。

これはコンピュータの半導体の世界のみならず、ITの世界全般に適用される。

これによってかつてフロッピーの容量は数キロバイトだったのが、今はキロ⇒メガ⇒ギガを超えて、今やテラバイトの外付けハードディスクが一般的になっている。これによって人々はテレビ番組を外付けハードディスクに自動録画して後で見るという習慣が世界中に広まり、CMを早送りにするなどテレビ業界の痛手になっている。それは今後更なる大容量化によって事実上無制限化しそうだ(それによってライブスポーツ中継の重要度が増し、欧米でスポーツマネーバブルが起きているのは以前述べた通り)。

正直これはムーア先生もびっくりの技術革新である。

ITに従事している技術者達は皆思っているはずだ。「俺達の世代で破られるわけにはいかない」と。

彼らは過去の偉人からバトンを受け取って次の世代に渡すという使命感を持っている。

事実、あのアップル社のスティーブ・ジョブズは、一度アップル社をクビになった後、「先人達が自分に渡してくれたバトンを落とす事になって申し訳ない。」と過去のIT業界の偉人達に謝罪して回ったという話は有名である。

このように、ITの世界は日々技術革新を行っている。

よって、現状通信容量の問題で制限が掛かっているのも、そのネットワークを構成するネットワーク機器、ケーブル容量、伝送技術等は飛躍的に向上し、これまでよりも大容量で低価格になるのは間違いないのである。

なので遅いか早いかだけの話で、データ容量制限がいつか撤廃されるのは「時間の問題」と言う事が出来るのだ。

以上の理由から、ソフトバンクといったキャリアは短期決戦にしたいと思っていると私は考える。

——-

さて、NetflixやHulu、Amazon、そしてスポナビライブにダ・ゾーン、またAbema.tvといったサービスなど、今はインターネット動画配信ブームである。新日本プロレスも新日本プロレスワールドをやっているし、WWEもWWEネットワークをやっている。

それは明らかに「儲かる可能性が極めて高い」からであり、「この覇権を自分達が握らなければ非常にまずい」と考えているからである。よって競争が世界レベルで激しくなっている。

この覇権争いはどう収束するか。

それが終わった時、現状のテレビ放送、IT、スポーツ、エンタメも含めたあらゆる業界に大きなパラダイムシフトが起きるのは、もう避けられない流れなのである。

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